カーボンフットプリント(CFP)算定に向けた支援、および算定結果の検証
カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みが世界的に加速する中、GHG(温室効果ガス)排出量や削減量の算定精度向上が求められています。
CFPの重要性と規制対応の必要性
カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みが世界的に加速する中、GHG(温室効果ガス)排出量や削減量の算定精度向上が求められています。企業は自社の環境負荷を正確に把握し、効果的な削減戦略を策定する必要があります。そのための重要な手法の一つがカーボンフットプリント(CFP)の算定です。
CFPを算定することで、企業は製品やサービスのライフサイクル全体におけるGHG排出量を可視化できます。これにより、排出削減の重点領域を特定し、削減施策を具体化することが可能になります。たとえば、製造工程のエネルギー使用の最適化、再生可能エネルギーの導入、サプライチェーンの脱炭素化(低炭素素材の採用、輸送効率の向上)などが挙げられます。また、企業は排出量削減だけでなく、経済的な効率性も高めることができます。
加えて、環境意識が消費者や投資家にとって、CFPの開示は企業の透明性向上に繋がります。特に、環境配慮を重視するESG(環境・社会・ガバナンス)投資家にとって、企業のGHG排出量の開示は重要な評価基準の一つです。
CFPの重要性は企業の自主的な取り組みにとどまらず、規制対応を行うことにも関わっています。特に欧州ではGHG排出量の開示を義務付ける規制が強化されており、その代表例が炭素国境調整メカニズム(CBAM)です。CBAMは、鉄鋼やアルミニウムなどの特定の輸入品に対して、GHG排出量に応じた炭素コストを課す制度です。この制度により、輸出企業はCFPの算定と開示を求められることが増えています。
また、欧州電池規則では、EU域内で販売されるバッテリーに対し、製造から廃棄に至るまでのGHG排出量の開示が義務付けられています。このように、サプライチェーン全体での脱炭素化を促進する狙いがあり、今後はさらに多くの業界で同様の規制が導入される可能性があります。
日本でも、経済産業省と環境省が共同で「カーボンフットプリント ガイドライン」を2023年3月に発行し、国内企業におけるCFP算定の普及が進んでいます。これにより、国内企業もGHG排出量の可視化と開示を求められる機会が増加すると考えられます。
CFPの活用は、規制対応にとどまらず、企業が環境負荷を削減しながらビジネス価値を高める手段にもなります。たとえば、消費者向け製品にはCO₂排出量を明示したラベルを導入する動きが広がっており、消費者が環境負荷の低い製品を選択しやすくなっています。これにより、環境意識の高い市場へのアピールが可能となり、企業の競争力が強化されます。
また、CFPデータを活用し、サプライヤーとの協力を強化することで、低炭素素材の調達やエネルギー使用の最適化を進めることが可能です。これにより、企業の脱炭素経営が加速し、持続可能な成長を実現することができます。
今後、GHG排出量の開示義務化が進む中、CFPの算定と活用は企業にとって不可欠な要素となります。環境規制への対応だけでなく、企業価値向上の観点からも、CFPの導入は戦略的に進めるべき課題であり、企業にとって競争力を保つための重要なツールと言えるでしょう。
DNVのグローバルな強みと専門知識
DNVは、欧州をはじめとするグローバルなネットワークを活用し、日本企業の海外事業所に対する検証に幅広く対応いたします。
多言語・多文化に精通したスタッフ
各国・地域の言語や文化を理解した専門スタッフが、効率的かつ円滑な検証プロセスを実現します。
豊富な知見と包括的な検証
長年の実績と多岐にわたるサービス提供の経験から、企業が直面する課題に対して多角的な視点から最適な検証サービスを提供します。
DNVのCFP算定結果に関する第三者検証サービス
DNVは、ISO 14067や業界で定められた算定基準(PCR)など、CFP算定に関するさまざまなガイドラインに基づき算定された結果を、第三者の立場で検証いたします。
ISO 14067
製品のカーボンフットプリントの算定に関する国際規格です。この規格は、製品のライフサイクル全体にわたるGHG排出量を計算する方法を定め、算定の透明性、正確性、一貫性を確保するためのガイドラインを提供しています。第三者検証機関は、ISO 14067に基づき、製品やサービスのCFP算定結果が適切に行われているかを確認します。
GHGプロトコル(Greenhouse Gas Protocol)
GHGプロトコルは、企業や組織がGHG排出量を計算・報告するための国際的に広く使用されている基準です。特に、スコープ1、スコープ2、スコープ3の排出量算定において詳細なガイドラインを提供しています。CFPの検証においても、GHGプロトコルの基準に従い、サプライチェーン全体の排出量が正確に算定されているかどうかを確認します。
PCR(Product Category Rules)
PCRは、製品カテゴリーごとにCFPを算定するための業界特有のガイドラインです。PCRは、特定の製品カテゴリーに関するライフサイクルアセスメント(LCA)の方法論を定め、CFP算定時のルールを提供します。第三者検証機関は、このPCRに基づき算定結果が適切であるかどうかを確認します。
ISO 14021
環境ラベルと環境宣言に関する規格で、特に自己宣言型環境ラベル(自己認証型の環境表示)に関するガイドラインを提供しています。CFPの検証においても、企業が環境に関する自己宣言を行う場合、ISO 14021はその主張の信頼性を支えるために活用されます。この規格は、第三者による検証を求めない自己宣言型の環境ラベルに適用されることが多いですが、企業が自社のCFP情報を開示する際にも、その情報の正確性や透明性を示す重要な役割を果たします。
DNVが提供する主なCFP支援サービス
ISO14067およびPCRなど関連するガイドラインに基づき、製品やサービスのCFP算定を包括的にサポートします。
算定方法の妥当性確認
正確なCFPの算定を実現するため、採用する算定方法の適正性を検証します。
算定結果の第三者検証
客観的な視点から算定結果の信頼性を確認し、情報開示の透明性工場を支援します。
算定ルールの明文化
組織内外のステークホルダーに対し、明確なガイドラインを提示し、一貫性のある情報開示を実現します。
必要様式類の整備
報告書や申請書などの書類整備を通じて、効率的なデータ管理と円滑な情報伝達を支援します。
一般的な検証業務の流れ