DNV、鉄鋼業界の持続可能な発展に向けたレポートを公表
リスクマネジメント機関であるDNVは、9月26日、低炭素排出鉄鋼への移行に関するグローバル産業の課題と機会を示す報告書 『持続可能な鉄鋼の未来:欧州鉄鋼業界の事例』。を公表しました。この報告書は、鉄鋼メーカーが低炭素の生産方式に転換する必要性を強調しています。
リスクマネジメント機関であるDNVは、9月26日、低炭素排出鉄鋼への移行に関するグローバル産業の課題と機会を示す報告書 『持続可能な鉄鋼の未来:欧州鉄鋼業界の事例』(Shaping the future of sustainable steel: Lessons from Europe’s steel Industry)を公表しました。この報告書は、鉄鋼メーカーが低炭素の生産方式に転換する必要性を強調しています。
現在、鉄鋼は建設業界および産業製品に不可欠な材料であり、鉄鋼業界は世界のCO2排出量の約7%と多くの割合占めています。したがって、鉄鋼業界でのCO2排出削減は、世界的な気候変動対策において最優先課題です。
鉄鋼市場では、高品質な低炭素排出鉄鋼の需要が増加しており、ユーザーはサプライチェーンで発生する間接排出(Scope 3)を含む炭素排出削減のための野心的な目標を設定しています。この需要を満たすためには、前例のない技術革新と巨額のな資本投資が必要です。低炭素排出鉄鋼の生産能力拡充と転換には、相当な資本支出が不可欠であり、完全な実現には数十年を要する見込みです。
鉄鋼の低炭素排出への転換が多くの機会を提供する一方で、本報告書は鉄鋼業界が直面する重大な課題を強調しています。特にコストと技術的な状態、そして不透明な規制環境です。統一された低炭素排出または「グリーン鉄鋼」に関する標準が欠如しているため、混乱を招いています。
本報告書に参加した鉄鋼メーカーのうち、約40%の企業がEUの請求指令、炭素国境調整メカニズム(Carbon Border Adjustment Mechanism)、企業サステナビリティ報告指令 (Corporate Sustainability Reporting Directive)などの規制を遵守していると述べています。業界全体に信頼と透明性を構築するためには、原則に対する合意と標準間の相互運用性が不可欠です。
「鉄鋼の効果的な脱炭素化には信頼と透明性が重要です。鉄鋼消費者がメーカーの炭素排出削減の主張を信頼できなければ、低炭素排出鉄鋼に対して高い価格を支払うモチベーションを損ないます。持続可能な鉄鋼に対する信頼性は、強力な保証メカニズムに大きく依存します。検証されたデータは消費者と投資家の両方に信頼を提供し、それによって脱炭素化への追加投資を促進するポジティブな循環を生み出します」と、DNV Supply Chain and Product Assurance部門CEO Geir Fuglerudは述べています。
さらに、デジタル化はこのプロセスで重要な役割を果たします。多くの回答者が現在および今後18ヶ月間の最優先課題としてこれを挙げています。現在、炭素排出データはしばしば旧式の方法で管理されていますが、デジタル化されたシステムの導入は、企業に大きな恩恵をもたらし、この分野においてもデジタリゼーションは、環境主張の検証が強化されるにつれて、鉄鋼メーカーに競争優位を提供します。
詳細な報告書内容は、DNVウェブサイトからダウンロードできます。
DNVについて
DNVは、160年間続くあらゆるリスクマネジメントに関する様々な活動を行う先駆的国際機関として、世界100ヶ国以上、300の事務所、85もの様々な国籍を持つ16,000人のスタッフが認証、アセスメント、船級等々の分野でサービスを提供しています。積極的に研究開発へと継続的に投資しているため、従業員は高度な専門性と資格を有する集団としてサービスを提供することが可能となっています。
このプレスリリースは、DNVの本レポートで議論されたトピック、主要な鉄鋼メーカーのインタビュー、および調査回答者のデータに基づいて作成されました。