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EU MRVの対象が400GT以上の船舶に拡大 – 今すぐ準備を開始しましょう

2025年1月1日から改正EU MRV規制の範囲が拡大し、総トン数(GT)が400~5000の一般貨物船や400GT以上のオフショア船も適用対象となります。欧州委員会(EC)は現在、ステークホルダーがオフショア船の排出に関するMRV義務を遵守するよう、そのサポートを目的とする将来のガイダンス文書について議論を進めています。この法令関連ニュースでは、EU MRVの遵守に関するDNVの専門知識を共有するとともに、新たに影響を受ける企業についての洞察を提供します。

IMO MEPC 81: negotiations on new GHG reduction requirements continue400GT以上の船舶の所有者および管理者(オフショア、造船所、サプライヤー、設計事務所、旗国など)に関係します。

EU MRVによる排出量の収集と報告について、その総合的な目的は、海上運送が環境に与える影響を評価し、EU ETSとFuelEU Maritime規制の基盤とすることです。以下では、EU MRV規制の概要、プロセス、DNVが得た教訓についてご紹介します。

EU MRV – 概要

EU MRV規制とは、EEAの港に寄港する船舶の二酸化炭素(CO2)排出量とその他の関連情報の年次報告を海運会社に義務付けるとともに、認定を受けた独立検証機関による当該報告の検証について定めた規則です。

海上運送による温室効果ガス排出で最も大きな部分を占めるのはCO2の排出ですが、メタン(CH4)や亜酸化窒素(N2O)にも注目する必要があります。そのため、海上運送セクターからの排出量削減を目的とする一連の対策の一環として、2023年にMRV規制が改正されました。それにより2024年1月1日からMRV規制の範囲が拡大し、船舶によるCH4とN2Oの排出量も対象となりました。

さらに、2025年1月1日以降、この改正EU MRV規制が400~5000GTの一般貨物船や400GT以上のオフショア船にも適用されます。「オフショア船」の明確な意味は、ECによってまもなく定義される予定です。

EU MRVの年次サイクル

以下に、MRVのスケジュールの重要点を図式化しました(400~5000GTの船舶だけでなく、すべての種類の船舶に適用されます)。

図に記載されるように、提出期限が迫った状態での排出量データ処理に関するトラブルを避けるため、モニタリング計画書(MP)を早期に提出することが強く推奨されます(以下を参照)。同様に、DNVは可能な限り早くECへの提出を行うことをおすすめしています。

EU MRVの対象が400GT以上の船舶に拡大 – 今すぐ準備を開始しましょう

EU MRV検証プロセスの仕組み

5000GT以下の船舶やオフショア船が適用対象となっても、既存のEU MRV検証プロセスに変更はありません。新規利用者を除けば、規制遵守のための主な作業は上の図のとおりです。

EU MRVの対象が400GT以上の船舶に拡大 – 今すぐ準備を開始しましょう

EU MRVとEU ETSの連携

現在、EU MRVとEU ETSは統合されており、既存のEU MRVから取得した排出量データはEU ETSのもととなっています。5000GT以下の船舶は現時点でEU ETSを義務付けられていないものの、400~5000GTの一般貨物船とオフショア船は2027年から対象となる可能性が極めて高いと思われます。次のとおり、EU MRV MPはEU ETSのもととなります。

2025年以降、海運会社は会社レベルの排出量データを集計し、検証を行ったうえで、毎年3月31日までに管理機関に提出しなければなりません。このデータは前年度のMRV排出量報告書に基づいている必要があります。実際には、現行のMRV制度下より遅くとも1か月早く船舶の排出量報告書を検証して提出する必要があります。

2025年以降、検証済みEU MRV排出量報告書のECへの提出期限が4月30日から3月31日になります。船舶の検証を適切に完了したうえで、EU ETSの対象となる船舶の排出量をすべて網羅したMRV排出量報告書と企業排出量検証報告書を毎年3月31日までに管理機関に提出しなければなりません(なお、DNVでは、検証のために遅くとも期限の1か月前にMRV排出量報告書を提出することをおすすめしています)。

適切な実行 – 長年にわたりDNVがEU MRVから得た教訓から

2018年のEU MRV初期から、DNVは約25,000件に上る排出量報告書を検証してきました。EU MRV(および関連するIMO DCS)に関する業務からDNVが得た教訓をいくつかご紹介します。

電子報告を計画する

  • データの収集や取扱いを(手動でその都度行うのではなく)電子的に行うことで、一貫性、品質、継続的なフィードバックを確保し、時間に加え、労力やコストも削減できます。
  • 電子報告は用船主や金融界といった他のステークホルダーの要件も満たすことができます。これにより将来的な他の規制にも対応できる、より「未来保証」型の事業を実現できます。
  • データの収集、モニタリング、報告の明確なプロセスを定めます。

データの品質による財務上の影響

  • EU MRVはデータ収集のみの遵守規制として開始されましたが、EU MRVの影響は単なるデータ収集にとどまらず、報告内容に誤りなどがある場合は、重大な財務上の影響を引き起こす可能性があります。そのため、データの品質が極めて重要です。
    • 年間を通してデータの品質をチェックし、年度末を迎える前に準備を整えておきます。
    • 品質上の問題が原因で期限を超過しないようにします。
    • 報告データの改善を毎年行います。

早めに着手する

  • プロセスを早めに開始することが重要であることを、ここであらためて強調します。「MRV新規利用者」の場合、2024年の残りの期間にプロセスを確立してください。
  • DNVのMRV MPオンラインフォーム(ポータルサイト「マイサービス」から入手可能)を使ってモニタリング計画書を作成します。
  • MRV排出量データを今すぐアップロードして品質をチェックします。また、2025年1月の期限を迎える前に適切な報告手段を定めておきます。MRV新規利用者の場合、MRV報告書テンプレートにアクセスできます。2024年の残り期間、データ品質の事前検証を無料で行うことが可能です。
  • 年間を通して、規制や技術的問題に関するDNVの専門知識を入手します。

始め方

「EU MRV新規利用者」の場合、以下にしたがって始めてください。

  • モニタリング計画書を作成する
    マイサービスポータルからテンプレートを入手できます。
  • できるだけ早く報告に着手する
    2024年の残りの期間にプロセスを定めます。
  • 試行錯誤を重ね、学び、改善を行います。

推奨事項

「EU MRV新規利用者」は規制遵守への取り組みを開始するにあたり、DNVが得た次の教訓に従うことをおすすめします。

  • 電子報告
  • データの品質を意識する
    データの品質に問題がある場合、財務上の影響を引き起こす可能性があります。
  • 早めに着手する
    12月31日を待たずに着手します。

参考文献

EU MRVに関するリソースをご紹介します。

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